小川糸さんの本

母が死ぬ前の10か月ほどずっと入院していたのですが、その病院で好んで読んでいた本が小川糸さんの本でした。その頃の母はとても弱っていて出来ることはとても少なく、それでも「本を読むのが楽しい」、と言っていたので 姉が母のために小川糸さんの本を病院に持って行ってくれていました。母が逝ってしまったすぐに、姉にすぐ「お母さんの最近好きだって言っていた作家さんって誰だっけ?」と聞いてすぐにでも読みたかったのですが、コロナの影響で本がなかなか手に入りませんでした。

私はサンフランシスコに住んでいるのですが 日本の本は買うととても高価なので(日本の倍くらいします)日本語の本が読みたい時はジャパンタウンの近くの図書館で借りるようにしています。海外のわりには数もそろっているので 普通は問題ないのですが コロナの影響で図書館はずっと閉まってしまい、最近はやっと市内で2-3か所くらいの指定された図書館が再オープンしましたが、図書館内には入れない カーブサイドピックアップと言って オンラインで予約した本を入口で受け取るというシステムになっています。そんなこんなで8月に予約した本が11月末にやっと1冊目「食堂かたつむり」を受け取ることができました。

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食堂カタツムリ

本を手にした直後は母の事を考えてあまりにも悲しくなってしまい しばらく読むことが出来なかったのですが おとといやっと読みました。読みだしたら、いっきに読んでしまった。すごく好きな本でした。母の好きな本は私も好きだろうな、と思っていたのですが やっぱりよかった。

そして、本を読みながら やっぱり母の事を考えてしまいました。というのも母は最期の方に首に穴を開けたので最後の3か月くらいは何も食べることが出来ず、「はやくリハビリして何か美味しいものを食べたい」、と言っていたのですが その思いが叶うこともなく逝ってしまったので 食堂かたつむりに出てくる数々のお料理はまさに夢のようだったんだろうな。そして最後は倫子さん(主人公)のお母さん(私の母とは性格が全く違うのだけれど)の死と母の死が重なってすごく切なくなりました。母は自分が死ぬことを考えたんだろうか? 

小川糸さんの本は他にも何冊か借りることができたので今はそれを読むのが楽しみです。他の本はもう少し心穏やかに読めるといいけれど。そして、読むときは母の好きだった美味しいお茶を淹れよう。

 

#小川糸 #母 #図書館 #サンフランシスコ